第98回西日本脊椎研究会  抄録 (一般演題Ⅲ)


16.拡張現実顕微鏡下胸腰椎椎弓根スクリュー挿入の初期臨床成績

徳島大学 整形外科

公文 雅士(くもん まさし)、手束 文威、添田 沙織、水谷 幸三郎、杉浦 宏祐、山下 一太、西良 浩一

【目的】近年、拡張現実の技術応用は脊椎手術においてもその有用性の報告が散見される。当科では脊髄腫瘍や靭帯骨化症などに対しこの技術を適用し良好な成績を報告してきた。今回、胸腰椎固定術時の椎弓根スクリュー(PS)挿入に新規導入したので報告する。
【方法】症例は8例(男6例、女2例)、手術時平均年齢は57歳。手術方法:1.術前CTより椎体、椎弓および椎弓根など脊椎virtual imageを作成。2.術中にアンテナを棘突起に設置し、表面レジストレーションを行う。3.virtual imageを顕微鏡を通して術野に表示。4.術中X線透視なしにvirtual image下にPSを挿入。本法に対して、術後、PS挿入精度をGertzbein- Robbins分類にて評価した。
【結果】PS挿入の正確性は97.7%(Grade A:40、B:3)であった。Grade Cを1本認めたが、術後合併症は認めなかった。
【結論】本法は、術中被ばくなく、高い正確性および安全性を持って施行可能であった。
17.頸椎疾患に対するAR顕微鏡手術

徳島大学 整形外科

手束 文威(てづか ふみたけ)、添田 沙織、水谷 幸三郎、神田 裕太郎、公文 雅士、杉浦 宏祐、山下 一太、西良 浩一

【はじめに】新たなナビゲーション技術である拡張現実(AR:Augmented Reality)を用いた頸椎顕微鏡手術につき報告する。
【対象・方法】対象は8例(男3例、女5例)、平均年齢55.0 歳であった。C-OPLLに対する前方固定術2例、後方除圧固定術1例、CSRに対する後方椎間孔拡大術4例、CSMに対する頸椎椎弓形成術が1例であった。術前CT・MRI画像からOPLLの骨化巣、椎骨動脈、硬膜、脊髄、椎弓・外側塊などのバーチャルイメージを作成した。
【結果】前方症例では、顕微鏡に投影された浮上予定の骨化部の幅、深さ、椎骨動脈の位置を確認しながら、OPLLの浮上・全切除が可能であった。後方症例では、椎弓・外側塊・硬膜幅などを投影し、椎間孔拡大と椎弓形成を行った。スクリュー刺入に際してARナビを併用した。
【考察】AR顕微鏡手術は術野のオリエンテーションを正確に把握することができる有用な手術支援技術と考えられる。新たなナビゲーションとして今後発展性があると考える。
18.FED-Thermal Annuloplastyを施行した椎間板性腰痛患者の画像的特徴

徳島大学 整形外科1)
旭川医科大学 整形外科2)

水谷 幸三郎(みずたに こうざぶろう)1)2)、手束 文威1)、添田 沙織1)、公文 雅士1)、杉浦 宏祐1)、山下 一太1)、西良 浩一1)

【初めに】当施設では椎間板性腰痛に対して局所麻酔下full-endoscopic discectomy(FED)を併用したthermal annuloplasty(FED-TA)を施行している。本研究の目的は、FED-TA施行患者におけるMRIとCT discography(CTD)所見の特徴を調査する事である。
【方法】2021年1月から2023年3月に椎間板性腰痛症に対してFED-TAを施行した40例 (男性32例、女性8例)、48椎間板を対象とした。椎間板レベル、Pfi rrmann分類、HIZ の有無、 CTDにおけるtoxicannular tear (TAT)の有無、CTDにおける造影剤漏出方向とHIZの位置関係を調査した。
【結果】椎間板レベルはL2/3:2例、L3/4:5例、L4/5:27例、L5/S:14例であった。Pfi rrmann分類はgrade 2:3例、 grade 3:22 例、 grade 4:17 例、 grade 5:6 例 であった。 HIZは41椎間板 (85.4%) に認めた。 CTD所見は、 type 1:21 例、 type 2:19 例、 type 3:8 例であり、 TATは40例 (83.3%) に認めた。 Pfi rrmann分類が進行するにつれCTD所見も進行していた (p <
0.01)。 HIZとTATの両方を認めた全例 (38例) でHIZ の位置と造影剤の漏出方向が一致していた。
【結論】本研究により、 HIZが椎間板線維輪断裂に関係している事が明らかとなった。 椎間板性腰痛の診断にMRIとCTDは不可欠であり、 その特徴を理解することは非常に重要である。
19.腰椎椎間板ヘルニアに対するコンドリアーゼ(ヘルニコア®)の使用成績~非典型的症例を対象とした検討~

総合せき損センター 整形外科

益田 宗彰(ますだ むねあき)、坂井 宏旭、森下 雄一郎、林 哲生、久保田 健介、畑 和宏、入江 桃、河野 修、前田 健

【はじめに】腰椎椎間板ヘルニア(LDH)に対するコンドリアーゼ(以下ヘルニコア)椎間板内投与は、安定した治療効果の期待できる非手術的治療方法として浸透しつつある。今回我々は、画像上非典型的形態と判断された症例に対し、適応を限定したうえでヘルニコア投与を行い良好な成績を得たので、典型的形態症例との比較を加え報告する。
【対象と方法】2018年以降、当センターにてヘルニコア投与を行い、2ヶ月以上の経過観察が可能であった65症例(男44例、女21例)を対象とした。ヘルニアの形態はMRI画像上Macnab分類に準じ、後縦靭帯下脱出型(SL)、経後縦靭帯脱出型(TL)、遊離脱出型(Sq)、頭尾側移入型(Mg)、外側型(Lat)の5タイプに分類し、原則SL以外を非典型的形態とした。治療効果はExcellent、Good、Fair、Poor の4段階とし、投与前・最終フォロー時のVAS改善率を算出した。MRIによる縮小の有無を評価し、各項目について統計学的検討を行った。
【結果】65例中非典型例は26例で、内訳はTL3、Sq2、Mg10、Lat1であり、SLでも術後再発例と巨大ヘルニアの計2例を非典型例とした。治療効果がExcellent/Good であったものは、非典型例で18/26例(69%)、典型例の30/39例(76%)であり、VAS改善率の非典型例66.4%、典型例65%とともに有意差を認めなかった。縮小は非典型例78%、典型例62%に認め、非典型例での改善が高い傾向にあった。
20.腰椎椎間板ヘルニアに対するコンドリアーゼ治療は手術適応を変えたか?~2施設5年間での検討~

山口大学医学部附属病院 整形外科1)
JCHO徳山中央病院 整形外科2)

藤本 和弘(ふじもと かずひろ)1)、鈴木 秀典1)、西田 周泰1)、舩場 真裕1)、池田 裕暁1)、市原 佑介2)、今城 靖明2)、山本 学2)、坂井 孝司1)

【目的】腰椎椎間板ヘルニア(LDH)介入治療(手術orコンドリアーゼ治療)の推移と効果の検討。
【対象と方法】LDHに対して保存治療抵抗性で介入治療を要した341例で5年間の介入治療の割合、コンドリアーゼ群では、下肢痛VAS50%以上改善の有無で2群に分類し、各因子を検討。
【結果】男229/ 女112 例、平均年齢48歳、BMI22.8、罹病期間5.4ヶ月。手術群/コンドリアーゼ群は、169/172 例。年度毎コンドリアーゼ群割合
は、Y病院:0→38→44→49→81%、T病院:0→25→44→63→71%。コンドリアーゼ治療後手術例は17例(10%)。与後3ヶ月時VAS評価可能な147例:改善群131例/非改善群16例で、罹病期間:5.2/9.3ヶ月(p=0.03) 、MRIT2 強調像でヘルニア内low:38/94%(p<0.01)が有意差を認めた。
【考察】コンドリアーゼ治療で約90%が手術回避可能であったが、長い罹病期間とMRIT2強調像でヘルニア内lowは効果不十分となる可能性がある。
21.経仙骨的脊柱管形成術(TSCP)の短期成績

鳥取大学整形外科

谷島 伸二(たにしま しんじ)、三原 徳満、武田 知加子、藤原 聖史、永島 英樹

【目的】経仙骨的脊柱管形成術のTSCPの短期成績について検討したので報告する。
【対象と方法】2022年7月から2023年3月までの間、手術・保存療法に抵抗する下肢痛を有する症例に対してTSCPを行った15例(男性7例、女性9例、平均年齢73.3±6.2歳)を対象とした。下肢痛をNumerical Rating Scale(NRS)で評価し、術前と術後6か月で評価し術後6か月の時点NRS3以上改善していた症例を改善群、その他を不良群とした。年齢、性別、Body Mass Index(BMI)、罹病期間、腰椎手術の既往、変性側弯(Cobb角10度以上)の有無、症状型(根症状、馬尾症状、混合症状)を比較した。
【結果】改善群は7例、不良群は8例であった。合併症は2例(硬膜損傷1例:改善群、カテーテル折損1例:不良群)に認めた。年齢、性別、BMI、罹病期間、腰椎手術の既往については2群間で差を認めなかった。不良群は全例根症状、改善群は各症状型が混在しており症状型に有意差を認めた。(P=0.02)。また不良群は腰椎変性側弯の症例が有意に多かった。(P-0.01)
【結語】TSCPでは変性側弯を伴った根症状の症例は改善が不良であった。
22.advanced-TSCP – 手技の確立と開発について

久留米大学整形外科学教室

横須 公章(よこすか きみあき)、佐藤 公昭、山田 圭、森戸 伸治、松尾 篤志、不動 拓真、二見 俊人、平岡 弘二

 2018年4月より硬膜外腔癒着剝離術(K188-2)が新たに保険適用となったことを皮切りに、我々は脊柱管内治療(Intra spinal canal treatment:ISCT)研究会を発足し、脊柱管内から除圧をすることを目的として、新たに経仙骨的脊柱管形成術(Trans-sacral Spinal Canal Plasty: TSCP)の手技を確立し、その安全性と有用性について報告してきた。現在では全国で3000例を超す症例数を数える。しかし、レントゲン透視下での癒着剥離はある意味盲目的であり、カテーテルによる物理的癒着剥離と薬液による液性剥離では、その手技に限界がある。そこで今回我々は、ファイバーカメラを用いて内視鏡下に脊柱管内を観察し、さらには脊柱管内から病巣にアプローチする方法、advanced-TSCP(仮)を考案し新たな手技を開発したので、その内容について説明する。今年末に新たなこのデバイスが臨床応用される予定であるが、その有用性と効果について検証していき、さらなる手技の向上に役立てていきたい。
23.高齢者腰椎変性側弯症に対する低侵襲治療―椎体間固定との比較

JA広島総合病院 整形外科

宇治郷 諭(うじごう さとし)、山田 清貴、橋本 貴士、土井 一義、水野 尚之、平松 武、松島 大地、藤本 吉範

【目的】演者らは高齢者腰椎変性側弯症(DLS)の腰痛、下肢痛に対して椎間腔バキューム内にPolymeth-ylmethacrylate(PMMA)を経皮的・経椎弓根的に注入するPercutaneous Intervertebral-vacuum PMMA Injection(PIPI)を開発し、その有効性を証明してきた。本研究の目的は、DLSにおける腰下肢痛に対するPIPIの有効性について椎体間固定術と比較することである。
【方法】Cobb角10°以上のde novo DLSで、椎体終板障害による腰痛もしくは側弯凹側部の椎間孔狭窄による下肢痛を有し、1椎間のPIPIもしくは椎体間固定術を施行した症例を対象とし、腰下肢痛(VAS)、活動性(ODI)を比較検討した。
【結果】PIPI群24例(平均74歳)、椎体間固定群18例( 平均60歳)、経過観察期間は平均24か月であった。両群とも全身麻酔下で手術を行ったが、PIPI群の8例では局所麻酔下に施行した。手術時間、出血量はPIPI群で有意に低値であった。腰痛、下肢痛のVASおよびODIは両群とも有意に改善し、両群間の改善率に有意差はなかった。
【考察】PIPIは椎体間固定術と同等の臨床成績が得られた。PIPIは適応に制限があるが、低侵襲であるため高齢者DLS症例に対して有用である。
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