第91回西日本脊椎研究会 抄録 (一般演題3)


17.DISHに伴う脊椎骨折のにおける脊椎固定術の検討

15.びまん性特発性骨増殖症の有限要素解析
 
佐賀大学医学部 整形外科1、九州大学 応用力学研究所2
 
小林 孝巨(こばやし たかおみ)1、森本 忠嗣1、Shu Guo2、前田 和政1、吉原 智仁1、平田 寛人1、戸田 雄1、東藤 貢2、馬渡 正明1
 
【目的】びまん性特発性骨増殖症(DISH)例では正常脊椎とは異なる骨折形態を呈するが、骨折メカニズムは解明されていない。本研究の目的は、DISHにおける骨折メカニズムを、有限要素法を用いて明らかにする事である。
【方法】61歳男性(DISH)と56歳女性(Control)を対象にした。CT-DICOMを基に5個の胸椎と椎間板で構築される有限要素モデル(4面体4節点要素、要素サイズ0.5mm)を作成した。弾性率(CT値から計算)と破壊状態を比較した。尾側胸椎の下関節面と椎体は完全固定とし、頭側胸椎上関節面と椎体へ200N/step(最大2000N)の圧縮引張外力を加えた。
【結果】DISHではControlと比較し、T8-9境界域(靭帯骨化部)で高弾性率を示した。DISHでは、圧縮引張外力により骨化した靭帯と椎体の接合部から破壊が生じた。圧縮外力より引張外力の方が、破壊要素数が多く、step増加に伴い破壊要素数の差も広がった。一方、Controlでは圧縮外力と引張外力で破壊要素数と破壊状態の差がなかった。
【考察】本研究より、DISHの靭帯骨化が椎体骨折形態に重要な影響を及ぼす可能性があることが示唆された。
16.びまん性特発性骨増殖症(DISH)を伴う胸腰椎骨折治療の問題点
 
宮崎大学 整形外科
 
川野 啓介(かわの けいすけ)、帖佐 悦男、濱中 秀昭、黒木 修司、比嘉 聖、永井 琢哉、李 徳哲
 
【はじめに】びまん性特発性骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis:以下DISH)を伴う骨折は難治化することが多い。当院での治療経験を後ろ向きに振り返りDISHを伴う骨折の問題点について検討したので報告する。
【方法】2010年以降にDISHを伴う胸腰椎骨折に対して手術を行い半年以上経過観察可能であった17例を対象とした。手術時平均年齢は78.7歳、平均経過観察期間は30.8ヶ月であった。検討項目として受傷機転・高位、手術待機期間、術式、固定範囲、術前後の麻痺の変化、局所後弯角の変化、周術期合併症、骨粗鬆症治療の有無などについて検討を行った。
【結果】当院へ直接搬送された症例を除くと手術待機期間が平均約90日であった。合併症としては褥瘡が3例、再手術を2例に要した。受傷前に骨粗鬆症治療を行っていた症例は3例(17.6%)であった。
【考察】DISHを伴う胸腰椎骨折治療の問題点としては①診断の遅れ、②周術期合併症、③固定法の選択、④骨粗鬆症治療などがあると考えられる。当院の治療経験を振り返って文献的考察を加えて報告する
17.DISHに伴う脊椎骨折のにおける脊椎固定術の検討
 
長崎労災病院 整形外科
 
佐保 明(さほ あきら)、馬場 秀夫、奥平 毅、山口 貴之、今井 智恵子、小西 宏昭
 
人口の高齢化に伴い、びまん性特発性骨増殖症(以下DISH)を伴う脊椎骨折は増加傾向にある。本邦におけるDISHの有病率は10%と高く、特に80歳以上の男性では40%の患者が罹患するとされる。DISHを伴う脊椎骨折は不安定性が高く、急速な麻痺の出現や偽関節の発生などがしばしば問題になる。
2014年1月から2019年2月まで当科でDISHと診断され手術施行した40例を後ろ向きに検討した。受傷機転、罹患椎体、術式、術前後合併症、骨密度、骨粗鬆症加療歴などの臨床経過を若干の文献的考察を加え報告する。
18.びまん性特発性骨増殖症(DISH)を伴う胸腰椎骨折に対する終板貫通スクリュー(TSD)
 
香川県立中央病院 整形外科
 
生熊 久敬(いくま ひさのり)、井上 洋一
 
我々は、2枚の椎体終板を貫通するスクリュー挿入法(Transdiscal Screw for Diffuse idiopathic skeletal hyperostosis :TSD)をDISHを伴う外傷例に応用してきた。これまでに9例のびまん性特発性骨増殖症(DISH)を伴う脊椎骨折に対して本法を用いた後方固定を行った(TSD 群)。2012年以降に椎弓根スクリューによる長範囲後方固定を行った8例(PS群)を対照群として両群の臨床成績を比較検討した。平均観察期間はTSD群12.2ヵ月、PS群が17.7ヵ月で平均手術時間、平均出血量は、TSD群169.6分、79.2ml、PS群193.1分、124.8mlでTSD群が少なかった。平均固定椎間数と平均スクリュー使用本数はTSD群4.2椎間、8本、PS群5.6椎間、12本で有意にTSD群が少なかった(P<0.01)。周術期合併症は、PS群に術後早期のscrew backoutを1例に認めた。骨癒合は両群とも全例に認められた。スクリュートルクは両群間に有意差は認めなかったがTSDが高い傾向を認めた(P=0.06)。TSDは従来の椎弓根スクリューに比較して固定性に優れ、狭い固定範囲で長範囲固定と同様の成績が得られていた。高齢者の多いDISHを伴う脊椎外傷においてTSDは有用なアンカーになり得る。
19.びまん性特発性骨増殖症(DISH)を伴う高齢者胸腰椎椎体骨折に対するtrans diskal screwの短期成績
 
高知医療センター 整形外科
 
小田 孔明(おだ よしあき)、時岡 孝光
 
【はじめに】びまん性特発性骨増殖症(DISH)を伴う胸腰椎椎体骨折は従来3 above 3 below固定が必要とされたが,最近では高齢骨粗鬆で脆弱化して椎弓根スクリューが困難な症例に対し、新たなスクリューの軌道が試みられている。なかでも、終板を貫通するようにpedicle screw を設置するtrans diskalscrew(TDS)は固定力が強いとされる。初期固定力を検討するため、当院の症例の短期成績を検討し、従来法との比較を行った。
【方法】対象はDISH胸腰椎椎体骨折に1 above 1 belowの固定が行われた15例である。平均年齢80.5歳、男性11例、女性4例。従来のPPSによる固定術は8例に行い、TDS法を用いた固定術は7例に行った。検討項目は手術後と最終観察時の固定範囲後弯角度、10°以上の矯正損失がみられた症例数、矯正損失が起きた部位を検討した。
【結果】10°以上の矯正損失はPPS群3例、TDS群は1例にみられ矯正損失は終板を貫いたscrewの部位では見られず、いずれも椎体内でscrewのlooseningが矯正損失を起こしていた。
【考察】TDS法は固定力が強く、固定範囲の短縮が可能と考えられる。骨折型によっては尾側で挿入が難しい状況もある。
20.当院でのびまん性特発性骨増殖症を伴う骨粗鬆症性椎体骨折に対するBKP治療
 
愛媛県立中央病院 整形外科
 
山岡 慎大朗(やまおか しんたろう)、飯本 誠治、椿 崇仁、小西 義克、大野 尚徳、高須 厚、西村 亮祐、青木 一将、日浅 浩成
 
びまん性特発性骨増殖症(DISH)を伴う骨粗鬆症性椎体骨折は,保存的には予後不良な症例が多いため、早期離床を目的に低侵襲であるBKP 治療を行っている。
【対象と方法】2014年4月以降に,当院でBKP治療を行った症例のうちDISHを伴う椎体骨折(DISH 遠位端の骨折とDISH 隣接の椎体の骨折)に対して手術治療を行った21例22椎体において楔状角(術前・術直後・術後),続発性骨折等につき検討した。
【結果】DISH遠位端の骨折と隣接椎体の骨折では,楔状角の推移は有意差を認めなかったが,隣接椎体骨折症例では新規再骨折発生率は非常に高かった。
【考察】BKPは低侵襲であり,癒合椎間を増加させない利点はあるが,DSIHの隣接椎体新鮮骨折では術後新規骨折発生に注意を要する。
20.当院でのびまん性特発性骨増殖症を伴う骨粗鬆症性椎体骨折に対するBKP治療
 
愛媛県立中央病院 整形外科
 
山岡 慎大朗(やまおか しんたろう)、飯本 誠治、椿 崇仁、小西 義克、大野 尚徳、高須 厚、西村 亮祐、青木 一将、日浅 浩成
 
びまん性特発性骨増殖症(DISH)を伴う骨粗鬆症性椎体骨折は,保存的には予後不良な症例が多いため、早期離床を目的に低侵襲であるBKP 治療を行っている。
【対象と方法】2014年4月以降に,当院でBKP治療を行った症例のうちDISHを伴う椎体骨折(DISH 遠位端の骨折とDISH 隣接の椎体の骨折)に対して手術治療を行った21例22椎体において楔状角(術前・術直後・術後),続発性骨折等につき検討した。
【結果】DISH遠位端の骨折と隣接椎体の骨折では,楔状角の推移は有意差を認めなかったが,隣接椎体骨折症例では新規再骨折発生率は非常に高かった。
【考察】BKPは低侵襲であり,癒合椎間を増加させない利点はあるが,DSIHの隣接椎体新鮮骨折では術後新規骨折発生に注意を要する。
21.腰椎DISHに伴うchance骨折に対し前後方固定を行った1例
 
兵庫医科大学 整形外科
 
山浦 鉄人(やまうら てつと)、楠山 一樹、圓尾 圭史、有住 文博、橘 俊哉
 
DISHを伴う腰椎chance骨折に対し前後方固定術を施行した症例を報告する。79歳女性、転倒を機に体動困難となり救急搬送となった。
搬送時明らかな下肢神経症状は認めなかったが、単純レントゲン、CT上胸腰椎DISHを伴うL2Chance 骨折を認めた。骨折部はギャップを認め、AO分類 typeB3の骨折形態であった。手術は二期的に後方固定後(Th10-骨盤)に1週後に前方固定を行なった。術後3週より固定上位にインプラントの脱転伴う皮下突出を認め、4週で感染による同部位の褥瘡、インプラント露出、後方インプラントの抜釘を行なった。抜釘後4週より硬性コルセット着用下離床を開始、術後3ヶ月でCTでは後弯し元のアライメントの状態で骨癒合が得られた。DISH は異所性骨化と骨量低下が同時に起こり、骨折椎体上下3椎体の固定が推奨される。またB3のような前方成分のギャップに対し前方固定を有する。本症例では術後早期感染による後方インプラント抜釘を行ない後弯進行を認めたが、元のアライメントでの骨癒合が得られた。
22.骨粗鬆症を伴うDISH患者に発生したTh12圧迫骨折、脊髄硬膜下血腫に対する1手術例
 
伊万里有田共立病院 脳神経外科1、白石共立病院 脳神経脊髄外科2
 
田中 達也(たなか たつや)1、桃崎 宣明1、本田 英一郎2
 
【緒言】骨粗鬆症を伴うDISH患者に発生したTh12圧迫骨折、脊髄硬膜下血腫の1手術例を報告する。
【症例】62歳、女性。知的障害、意思疎通困難あり、施設入所中。X/Y 突き飛ばされ、転倒。その後より頭痛、背部痛あり。X/Y+1 嘔吐あり。イレウス、尿閉を認め、当院入院。X/Y+10 脊椎MRIにてDISH、多発脊椎圧迫骨折にTh12新鮮圧迫骨折、脊髄硬膜下血腫を認め、当科紹介。著明な背部痛、下肢痛あり、下肢麻痺あるも意思疎通困難のため程度不明。X/Y+18 Th12BKP施行。術直後より疼痛軽快するも左下肢に強い対麻痺あり。透視下にL4/5血腫腔穿刺を行い、黒褐色液30ml排出。リハビリを行い、3か月後、歩行器可能。
【考察】DISHに伴う圧迫骨折は難治性であり、固定術を含めた手術療法が検討される。本例は骨粗鬆症あり、椎体前壁骨欠損を伴っていた。通常、BKPは適応とならず、後方固定術の適応であったが、骨粗鬆症が高度であり、骨癒合困難と考え、BKP単独手術を行った。疼痛、麻痺の軽快を認め、比較的経過良好であった。
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