第90回西日本脊椎研究会 抄録 (一般演題2)


8.腰椎に発生した骨髄性肉腫(顆粒球肉腫)の1例
 
熊本整形外科病院
 
田中 一広(たなか かずひろ)、米嵩 理、村上 直也、平川 敬
 
 比較的稀な腰椎に発生した骨髄性肉腫の1例を経験したのでこれを報告する。
【症例】51 歳、男性
【主訴】両下肢しびれ・疼痛、尿閉
【現病歴】2週間ほど前より腰痛を自覚、その後、両下肢の疼痛が出現、徐々に増悪。尿閉を自覚し当院受診した。
【身体所見】両大腿全面、両下腿後面にしびれ、疼痛を自覚。徒手筋力テスト両下肢腸腰筋3 レベル。下肢深部腱反射左右共に減弱・亢進なし
【血液検査】白血球 5960/μl、血小板 30.7×10 4、CRP 0.10mg/dl、CPK 377U/l、血糖 142mg/dl
【画像所見】単純X線像ではL5/S1レベルに関節症性変化を認めた。腰椎MRIではL1~L3レベルに硬膜外腫瘍を認め硬膜管の圧排を強く認めた。
【経過】椎弓切除・腫瘍切除術を緊急的に施行した。腫瘍組織の病理診断にて骨髄性肉腫の診断に至った。術後1日目より右大腿近位部の腫脹が出現し腫瘍性病変を認めたため総合病院に転院し化学療法施行した。脳・頚胸椎転移を認め当院受診後2ヵ月にて腫瘍死した。
9.腰椎aggressive hemangioma の1例
 
大分大学 整形外科
 
阿部 徹太郎(あべ てつたろう)、宮崎 正志、石原 俊信、津村 弘
 
【はじめに】脊椎血管腫は最も発生頻度の高い脊椎の良性腫瘍であり、10 ~ 27% 程度に認められる。今回、腰痛を伴い、急速に隣接椎体への進展を認めた脊椎血管腫の1 例を経験したので報告する。
【症例】33歳男性。腰痛のため近医を受診したところL4椎体の病的骨折が疑われ当科紹介となった。診断確定のためCT ガイド下生検を施行したが、採取した病理組織から有意な所見は得られず、切開生検を追加したところ脊椎血管腫の診断となった。その後、腰痛は持続し、L5椎体にまで病変の進展を認め手術の方針とした。手術は病巣掻破、骨移植、後方固定術(L2-iliac)を施行した。術後放射線療法を追加し現在まで再発なく経過している。
【考察】脊椎血管腫は良性腫瘍であり、疼痛、神経症状等を呈し治療が必要となるものは1%程度とされる。治療として、放射線療法、エタノール注入法、手術等が選択される。手術の場合、病巣掻破、骨移植でも再発率は低いとされ、En Bloc resection の必要性は議論の余地がある。本症例では、病巣掻破、骨移植を行い、再発率を低下させるため術後放射線療法を追加した。
10.腸腰筋に浸潤した脱分化型脂肪肉腫を摘出した2例
 
宮崎大学 整形外科
 
比嘉 聖(ひが きよし)、濱中 秀昭、黒木 修司、永井 琢哉、川野 啓介、李 徳哲、帖佐 悦男
 
【症例1】79歳男性、腹部エコーで偶然後腹膜腫瘍を指摘され、CT を施行したところ左後腹腎近傍に複数の腫瘍を認めた。L1 レベルには石灰化を伴う腫瘍、L3レベルは腸腰筋と腰方形筋に一部浸潤していた。手術は泌尿器科と協力し腎周囲とL1の腫瘍は腹腔鏡下で摘出し、腸腰筋に浸潤する腫瘍はNUVASIVE社XLIF神経モニタリングを使用しながら腰神経叢を損傷せず摘出した。
【症例2】57歳男性、検診で施行したCTにて後腹膜に8cm 大の腸腰筋、腰方形筋に浸潤する腫瘍を認め、生検で脂肪肉腫と診断された。手術は後内側はL3~5 横突起を切断し、後外側は腰方形筋の境界で切断した。次に側臥位で骨盤内に到達し腰方形筋を付着部で切断した。最後に仰臥位とし腹腔鏡下で腎周囲の腫瘍を剥離し上記の神経モニタリング装置を使用して腸腰筋を剥離して腫瘍を切除した。
【考察】脱分化脂肪肉腫は有効な化学療法がなく外科的切除が第一選択となる。しかし再発が問題であり可能な限り拡大切除が必要である。腸腰筋に浸潤した症例では神経モニタリングを行いながら剥離することで腰神経叢損傷を防ぐことが可能と思われる。
11.椎体形成術を行った胸椎嚢腫様病変の1例
 
兵庫医科大学 整形外科
 
大石 隼人(おおいし はやと)、橘 俊哉、圓尾 圭史、有住 文博、楠山 一樹、木島 和也、吉矢 晋一
 
 病的骨折に対し椎体形成術を行った胸椎嚢腫様病変の1例を報告する。
 症例は25才女性。背部痛と右胸部痛を主訴に紹介受診した。神経学的には異常なく、MRIでは第7胸椎椎体にT1強調画像で低信号、T2強調画像で均一な高信号な病変を認めた。CT検査ではT7椎体の周囲に硬化像を伴う骨透亮像と上位終板の骨折を認めた。皮質骨の膨隆は認めなかった。血液データでは異常なく、局麻下の経皮的生検術では腫瘍細胞は認めず、嚢腫病変と思われたが、嚢腫壁組織はあきらかでなかった。また細菌培養検査は陰性であった。疼痛が持続し、全麻下にHAブロックを用いた椎体形成術行った。内容液は血性であり、細胞診では炎症細胞や巨核細胞を認めたが腫瘍細胞は認めなかった。また再度細菌培養検査は陰性であった。術後2週で発熱とCRPの上昇、背部痛の増悪があり、SSIが疑われたが、抗生物質投与で改善した。術後3ヶ月の現在、背部痛、右胸部痛とも消失し、職場復帰した。CT検査では骨癒合remodeling傾向を認め経過観察中である。脊椎発生の嚢腫様病変はaneurysmal bone cystの報告が多いがsolitary bone cystの報告は渉猟しえなかった。今回の症例は病理診断が確定していないが稀な病態と思われる。病的骨折を伴っており椎体形成術が有用であった。
12.椎体と椎弓根にscalloping を呈した腰椎神経鞘腫の2例
 
島根大学 整形外科
 
牛尾 公典(うしお きみのり)、河野 通快、内尾 祐司
 
【はじめに】椎体と椎弓根にscallopingを呈した腰椎神経鞘腫に対して腫瘍核出術および経皮的椎弓根スクリューを併用した後方固定術を行った2例を報告する。
【症例1】53歳男性。第2腰椎の椎体と右椎弓根にscallopingを伴う約5.5x2cmの砂時計腫(戸山分類type VI)を認めた。
【症例2】69 歳女性。第5 腰椎の椎体と左椎弓根にscallopingを伴う約5x3cmの砂時計腫(戸山分類type VI)を認めた。2例ともに神経根から発生しており、腫瘍核出術と経皮的椎弓根スクリューを併用した後方固定術を行った。病理診断は神経鞘腫であり、術後、神経脱落所見はなかった。術後1年で再発はなく、CTでは椎体の骨欠損部に骨形成を認めた。
【考察】椎体Scallopingの程度により前方支柱再建術が考慮されるが、症例1・2 では椎体の骨欠損が1/3程度であり後方固定術のみで骨癒合が得られ、骨欠損部には骨移植なしでも骨形成が認められた。また、低侵襲治療として経皮的椎弓根スクリュー固定が有用であった。
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