第84回西日本脊椎研究会  抄録 (セッション6)【手術1】


30.骨粗鬆症性椎体骨折に対する最小侵襲脊椎安定術の治療成績

岩国医療センター 整形外科

馬﨑 哲朗(まざき てつろう)、土居 克己、釜付 祐輔、生田 陽彦、安光 正治

【目的】我々の施設では高齢者の骨粗鬆症性椎体骨折に対して、積極的に経皮的椎弓根スクリュー(PPS)による最小侵襲脊椎安定術(MISt)を施行しているのでその治療成績について報告する。
【対象】当院にてMIStを行った17例を対象とした。男性2例、女性15例、手術時年齢は平均75歳、病態は破裂骨折12例、圧迫骨折5例であった。全例多椎間固定を行い、椎体形成を併用した。これらの症例において治療成績について検討した。
【結果】手術時間は、平均139分、出血量は平均31ml、術後離床までの期間は平均2.2日だった。合併症はPPSのゆるみ5例で、PPSの逸脱率は163本中2本の1%であった。腰痛のVASは術前平均6.6、術後3ヵ月0.6であった。矯正損失は平均1.3度であった。
【考察】PPSを用いたMIStは、椎体形成を併用することで脊柱アライメントの改善が得られかつ良好な安定性を得ることで骨折部の骨癒合が期待できる。また手術侵襲が少なく早期離床も可能であり、有用な手術方法の一つである。
31.胸腰椎移行部の骨粗鬆症性椎体骨折に対する後方脊椎インストゥルメンテーション手術の臨床成績

熊本市民病院 整形外科

畠 邦晃(はたけ くにあき)、相良 孝昭

 胸腰椎移行部の骨粗鬆症性椎体骨折に対する脊椎インストゥルメンテーション手術の臨床成績を調査した。
【方法】対象は2006年~2014年の手術12例。平均76.4歳。術後観察期間は平均2年4ヶ月。followup率66.7%。調査項目は術式、JOA score、Modified Frankel分類、局所後彎角、術後合併症、新規椎体骨折、1年以上経過した7例のPJK angleである。
【結果】術式は椎体形成6、後方短縮骨切術4、その他2で、固定範囲は平均5.3椎間。JOA scoreは術前4.6から最終観察時12.1。Modified Frankel分類は改善9、不変3。局所後彎角は術前19.2°、術直後2.7°、最終観察時9.4°。術後合併症は髄液漏2、創部壊死1。新規椎体骨折は6例。PJKangleは術直後8°で最終観察時13.4°であった。
【考察】当科では主にLong fusionを選択しているが、高齢者においてもADLの改善が得られ重大な合併症はなかった。後彎進行、新規椎体骨折は今後の課題である。
32.腰椎椎体骨折と合併した脊柱管狭窄症に対する、TLIF によるshort fusion の試み

大分整形外科病院

井口 洋平(いぐち ようへい)、大田 秀樹、松本 佳之、中山 美数、巽 政人、瀧井 穣

【はじめに】椎体骨折の手術治療は、神経症状の有無と、後弯症治療の有無で治療方針が異なる。後弯症治療を行わず神経除圧が必要な場合、除圧固定手術の適応になるが、今回骨折椎間にTLIFを行いshortfusionを試みた。
【対象と方法】対象は2011年10月から2015年6月までの間に腰椎椎体骨折よって発症した脊柱管狭窄症(椎間孔狭窄を含む)で、下肢神経痛と腰痛が主訴であった14例(男性6例女性8例)。手術時平均年齢79.3歳(63歳~91歳)、術後平均経過観察期間15.9ヶ月(4ヶ月~40ヶ月)。固定椎間数は、1椎間6例、2椎間9例であった。骨折と狭窄を合併した椎間に局所骨、腸骨、人工骨をできる限り詰め込み椎間を安定化させて1椎間固定を行った。骨折椎体のスクリューが刺入不可能もしくは固定力不足の場合はやむをえず1椎間追加固定を行った。手術侵襲、腰痛VAS、JOA score、骨癒合率、合併症について検討した。
【結果】手術時間は平均158分(105~235分)、手術出血量は平均267ml(100~761ml)であった。腰痛VASは術前平均7.4から術後平均2.3へ改善した。JOA scoreは術前平均11.1から術後平均22.3へと改善した。(平林の改善率62.6%)TLIF部の骨癒合率は13/15例(87%)と良好であった。
【考察】腰椎椎体骨折に対し、short fusionで椎間を安定化させる本法は有効な手段と考えられた。
33.胸腰椎移行部における骨粗鬆性椎体骨折新鮮例に対する椎体形成併用後方固定術

高知県立幡多けんみん病院 整形外科1)
高知大学 整形外科2)

北岡 謙一(きたおか けんいち)1)、小松 誠1)、橋元 球一1)、青山 直樹1)、古月 拓巳1)、團 隼兵1)、葛西 雄介2)

【目的】近年、骨粗鬆症性椎体骨折においても早期手術を推奨する報告が散見されるが手術適応は議論が分かれる。今回、胸腰椎移行部における本骨折新鮮例に対する椎体形成併用後方固定術について報告する。
【対象】対象は、2010年8月以降に胸椎・腰椎骨折に対し脊椎固定術を施行した55例中、偽関節例や高エネルギー外傷を除いた胸腰椎移行部椎体骨折15例で、男性3例、女性12例、平均年齢77歳である。受傷から手術までは平均14日、受傷高位はTh11 1例、Th12 4例、L1 9例、L2 1例であった。手術は2皮切で筋間アプローチにより、骨折椎体へのCPC充填と隣接椎のPS固定を行った。PSの固定力が不十分な症例6例はネスプロンケーブル固定を追加した。平均観察期間は13か月である。
【結果】手術時間は平均118分、出血量は平均97mlであった。圧潰率は術前平均63.6%が、術直後83.4%、最終経過時68.5%であった。後弯角は術前平均9.9度が、術直後1.7度、最終経過時7.5度であった。PSの緩みを2例に、転位を7例に認めたが、全例骨癒合が得られた。胸腰椎移行部の骨粗鬆性椎体骨折に対して急性期から手術治療を行うことは有効な手段と考える。
34.下肢脱力を伴った偽関節椎体圧迫骨折に対してセラミックと後方固定術の予後(4例の検討)
(Course of 4 patients with mild and moderate weakness of low limbs due to non-union vertebral body , treated with posterior fixation and small ceramic boxes)


白石共立病院 脳神経脊髄外科1)
伊万里・有田共立病院 脳神経外科2)
長崎労災病院 整形外科3)

本田 英一郎(ほんだ えいいちろう)1)、桃崎 宣明2)、田中 達也2)、大石 豪1)、内山 拓2)、小西 宏昭3)

【はじめに】椎体形成術に対して限られた施設でPMMP(骨セメント)を用いたり、当院を含めた一般的な病院ではバイオペックス、セラミックを用いた手術が行われた。痛みの状況にて比較的早期に手術が行われることもあったが、昨年保険適応となったvertebral kyphoplastyも限られた施設であり、また慢性期のみの適応であることより、かなり高度な偽関節椎体となった症例が、当院などに搬送されてくる機会が多くなり、1.5年間で4例に広範囲な後方固定術を行った。以前の簡単な経皮的バイオペックス椎体形成に比較して平均4か月の入院リハビリを要すなどdemeritも大きい。高齢化かつ低侵襲の手術が呼応されている中で今回はあえてkyphoplastyの適応外とされた患者の後方固定治療の経過を報告する。
【症例】4症例は全て70歳以上(平均歳)で3例が女性、全例強い腰痛を主訴としており、4例は下肢の脱力を呈し、さらにこの内の1例は後彎による胃部の圧迫による食欲低下を示した。圧迫骨折後の偽関節の部位は4例すべてT12であった。後方固定のみを選択(pedicle screw, hook, tapeを使用)2例を除き骨折椎体を中心として2 above and 2 belowの固定を基本とした。残りの1例には後彎のために6椎体の固定を行った。あと1例には辷り症の合併のために2椎体の固定を延長した。
【結果および考案】4例ともにkyphoplastyが下肢の神経症状などにて適応外の症例である。比較的広範囲の後方固定のためにVASにて3以下の背部痛に至り、退院までに要した日数は平均3.2か月であった。ただ後彎の矯正や後方固定のみで骨切りなどの侵襲の大きな手術に対しては低侵襲であり、中等度、軽度な下肢脱力には有効な手段であった。
35.びまん性特発性骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis:DISH)を合併した圧迫骨折後偽関節に対して経皮的椎弓根スクリューにて治療した症例の術後成績

宮崎大学 整形外科

濱中 秀昭(はまなか ひであき)、猪俣 尚規、比嘉 聖、永井 琢哉、李 徳哲、今里 浩之、帖佐 悦男

【はじめに】DISHを合併した圧迫骨折後偽関節に対する経皮椎弓根スクリュー固定法(以下 PPS)の術後成績と安全性について自験例をもとに検討した。
【対象と方法】対象は平成24年11月から平成27年2月にかけてPPSによる後方固定術を施行した DISH合併偽関節患者5例(男性2例、女性3例)、平均年齢79.2歳、術後観察期間は平均15か月であった。手術時間、出血量、疼痛(VAS)、麻痺の推移(改良Frankel分類)、局所後弯角の変化、スクリューの逸脱率、合併症の有無を検討した。
【結果】手術時間は4時間23分で、出血量は248gであった。VASは、術前平均5点が最終観察時0.2点と有意に改善していた。麻痺の悪化例はなくFrankelAの1例は変化なかったが他の症例はいずれも1段階以上改善していた。局所後弯は術前平均8.8°が術直後1.0°まで改善し最終観察時には2.9°であった。スクリューは合計52本刺入し1本(1.9%)逸脱していた。1例に術後PSのbackoutを認め固定を延長した。
【考察】PPSによる後方固定術は従来のOpen法と比較して出血量が少なく低侵襲であると考えられた。しかし、ロッド装着がOpen法と比較して煩雑で困難であり慣れを要した。

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