| 27.化膿性脊椎炎における口腔内衛生環境の重要性 鳥取大学 整形外科 谷島 伸二(たにしま しんじ)、三原 徳満、武田 知加子、藤原 聖史、池田 大樹、永島 英樹 【はじめに】化膿性脊椎炎は血行性感染により発症し、従来は肺炎や尿路感染が原因とされてきたが、近年は口腔内常在菌の関与も指摘されている。そこで本研究では、化膿性脊椎炎患者における口腔内衛生状態との関連を検討した。 【対象と方法】2021~2024年に当院で治療した化膿性脊椎炎36例(平均年齢72.0歳)を対象とし、性別、年齢、起炎菌、罹患高位、口腔内衛生状態、先行感染の有無を調査した、比較群として、同時期に人工股関節置換術前に口腔内精査を受けた81例(平均年齢67.6歳)を用いた。 【結果】化膿性脊椎炎群では63.4%が齲歯・歯周炎など口腔外科的処置を要し、比較群の27.1%に比べ有意に多かった(p<0.01)。先行感染の最多は齲歯・歯周炎で、33.3%に口腔内常在菌が起炎菌として同定された。 【考察】近年、化膿性脊椎炎における口腔内常在菌の関与が増加しており、不良な口腔衛生状態が発症に関与している可能性がある。口腔衛生の維持は、予防や治療において重要と考えられる。 |
| *28.アトピー性皮膚炎に関連した壮年期化膿性脊椎炎の一例 久留米大学 整形外科 森戸 伸治(もりと しんじ)、佐藤 公昭、横須賀 公章、二見 俊人、西田 優甫、柿添 瑞貴、平岡 弘二 【症例】37歳男性、背部痛を主訴に他院を受診、MRIでTh7/8高位の椎間板後方突出を認め、胸椎椎間板ヘルニアの診断で保存的加療がなされた。約4か月症状が持続し、転移性脊椎腫瘍が疑われ当院へ紹介。幼少期からアトピー性皮膚炎あり。初診時、独歩であるが、体動時背部痛があり、明らかな神経症状は認めなかった。四肢皮膚に発赤を伴う皮膚びらんを認め、複数の掻爬痕を認めた。レントゲンでTh7,8の椎体楔状変形、MRIで椎間板腔液体貯留をCTで椎体骨破壊を認めた。骨生検では慢性炎症性細胞浸潤を認め、椎体と椎間板の組織培養検査でStaphylococcus aureusを検出し化膿性椎間板炎/脊椎炎の診断に至る。CEZ点滴2週間後にLVFX内服8週間行い、治療開始4週の時点でCRPの陰性化を認め、治療開始から6か月で骨癒合を得た。 【考察】 化膿性脊椎炎は免疫能の低下した高齢者に多く若年者では稀である。本症例では腫瘍性疾患との鑑別が必要であり診断に時間を要した。アトピー性皮膚炎は本症との関連が報告されており注意が必要であり、同時に骨粗鬆症評価も重要である。 |
| 29.腰椎化膿性脊椎炎に対する経皮的後方固定術 ―感染椎へPS挿入しても安全か?― 広島大学 整形外科 福井 博喜(ふくい ひろき)、中前 稔生、中尾 和人、木戸 佑基、Fadly Farid、安達 伸生 【目的】近年、化膿性脊椎炎に対する早期手術の成績が報告されているが、感染椎へのスクリュー挿入については不明な点が多い。本研究は、感染椎へのスクリュー挿入の有無による後方固定術の治療成績を検討した。 【方法】2013~2023年に当院で治療を行った腰椎化膿性脊椎炎のうち、経皮的後方固定術(PPS)を行い追跡可能であった18例を対象に後ろ向き研究を行った。感染椎へPS挿入あり(+群、11例)となし(-群、7例)の2群間の手術時間、出血量、固定範囲、術前後CRP、離床開始日数、画像(LLと局所後弯、PSのゆるみ、骨架橋、抜釘の有無)を評価した。統計解析はt検定を行いp<0.05を有意差ありとした。 【結果】(+)群の方が手術時間、出血量、固定椎間数が少なく、術後の離床開始日数が早い結果となった。画像パラメータについても2群間で有意差はなかった。(+)群で術後に感染の状況が悪化した症例もなかった。適切な手術時期や感染椎の状況を考えて症例を選べば、感染罹患椎体へのPSの挿入は問題ないと考える。 |
| 30.化膿性脊椎炎に対してCement augmented pedicle screwを用いた5例の検討 兵庫医科大学 整形外科 飛鳥 壮栄(あすか そうえい)、圓尾 圭史、有住 文博、木島 和也、山浦 哲人、波多野 克、橘 俊哉 【はじめに】化膿性脊椎炎(PVO)の外科的治療には脊椎の安定化が重要であるが、脆弱骨ではscrew looseningなどが起こりやすい。 Cement augmented pedicle screw(CAPS)は引き抜き強度を増加させ、 粗鬆症骨においてもscrew looseningを減少させる。今回、 我々は骨脆弱の予想されるPVOに対してCAPSを用いた5例を検討した。 【対象と方法】2022年7月以降に前方固定とCAPSを用いて後方固定手術を施行したPVO 5例(平均年齢79歳、 男性1例、 女性4例)を対象とした。 平均観察期間は15.6ヶ月、 2年以上フォロー可能であったのは2例であった。 【結果】骨密度YAM値70%未満は3例、 L1椎体のHU値は全例100以下であった。 全例炎症反応陰転化を認めた。 観察期間内で全例screw looseningは認めず、術後3ヶ月時点で骨癒合を認めた。 観察期間内で再手術に至った症例は0例であった。 【考察】脆弱骨であることが予想されCAPSを用いた後方固定術を施行した例を検討した。 PVOの治療において、 感染椎体へのPPS使用の安全性は報告されているが、 CAPSを使用した報告はなかった。 CAPSは骨粗鬆症を伴うPVOに対して有効な治療選択肢となると考える。 |
| 31.化膿性脊椎炎に対するケージを併用した脊椎固定術の適応と有用性の検討 兵庫医科大学 整形外科 山浦 鉄人(やまうら てつと)、圓尾 圭史、有住 文博、木島 和也、波多野 克、橘 俊哉 【目的】化膿性脊椎炎に対してケージを用いた脊椎固定術の適応とその治療成績を検討した。 【方法】2015年7月から2024年4月までで当院で化膿性脊椎炎に対してケージを用いた脊椎固定術を施行した症例で1年以上フォローし得た20例を検討した。患者背景、治療内容、画像的評価を検討した。 【結果】平均年齢は69歳、男性15例、頚椎4例、胸腰椎移行部が6例、腰椎が10例であった。術式はXLIF2例、X-core1例、TLIF6例、前後方同時固定11例(チタンメッシュケージ)であった。17例で椎体>50%の骨破壊を認めた。Spinal Infection Evaluation scoreは4.9、Spinal Instability Spondylodiscitis score 11.2であった。術後1年では全例病変部椎間は骨癒合を認めた. また局所後弯角は平均術前14.7°、術後1年5.4°で有意に後弯の改善を認めた。 【結語】ケージを用いた強固な前方支柱再建で病巣部を安定化させることは不安定性の強い化膿性脊椎炎の手術加療として有用であると考える。 |
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