第101回西日本脊椎研究会  抄録 一般演題Ⅳ(頸椎)


21.頚椎後縦靭帯骨化症における小侵襲後方除圧固定術
 
岡山医療センター 整形外科
 
山根 (やまね)健太郎(やまね けんたろう)、高尾 真一郎、竹内 一裕
 
【目的】当科では外視鏡を用いて片開き式頚椎椎弓形成術を小侵襲化した術式(ExLAP)を施行している。頚椎後縦靭帯骨化症に対してExLAPを応用した小侵襲後方除圧固定術を開発した。同術式の有用性について報告する。
【方法】頚椎後縦靭帯骨化症に対して小侵襲後方除圧固定術を施行した7例を対象とした。手術時間、出血量と、術後3日目、5日目、7日目、14日目での後頚部痛(NRS)について検討した。
【結果】平均手術時間は248分、平均出血量は320mlであった。術後の後頚部痛(平均NRS)は3日目5.0、5日目2.8、7日目3.2、14日目2.0であった。
【考察】外視鏡を用いた手術では、広いワーキングスペースが得られ、カメラの位置は自由度が高く、顕微鏡では得られない視軸を得ることができる。これらの特徴を利用して約2横指の小皮切3か所による小侵襲頚椎後方除圧固定術を行うことが可能であった。
22.点状軟骨異形成症に合併した環軸椎脱臼の2例
 
鳥取大学 整形外科
 
三原 (とく)満(みはら とくみつ)、谷島 伸二、武田 知加子、藤原 聖史、池田 大樹、中村 太紀、永島 英樹

 点状軟骨異形成症に合併した環軸椎脱臼を2例経験したので報告する。
【症例1】3カ月の女児。胎児除脈により緊急帝王切開となり、当院NICUに緊急入院した。点状軟骨異形成症に伴う環軸椎脱臼の診断で当科紹介となった。6カ月時点でO-C2後方固定(肋骨+wire固定)+C1椎弓切除を行ったが骨癒合が得られず、1歳3カ月でO-C3固定術(肋骨+インプラント)を再度行った。術後2週で創部から膿の流出があった(MSSA)。まずは洗浄・デブリのみを行ったが、インプラントがback outして皮膚を突き破ったため抜去した。成長を待って再度固定術の予定としていたが、動態撮影である程度制動されたため手術中止とした。
【症例2】生後20日の男児。普通分娩で出生したが呼吸状態が不安定で当院NICUに紹介入院。点状軟骨異形成症にともなう環軸椎脱臼の診断で当科紹介となった。生後半年頃に手術を考えていたが、両親の同意が得られず待機した。3歳時に手術の同意が得られたのでO-C2固定術(肋骨+インプラント)+C1椎弓切除を行った。術後経過は良好で、術後半年のCTで骨癒合を確認した。
*23.C1後弓骨折によるC2神経根症に対し、C1-C2後方椎間孔拡大術を行い治療し得た一例
 
広島市立北部医療センター安佐市民病院 顕微鏡脊椎脊髄外科・整形外科
 
村上(むらかみ) 欣(むらかみ やすし)、藤原 靖、古高 慎司、土川 雄司、山本 真弘、松本 明子、荻本 丈人、松島 大地、大田 亮
 
【背景】後頭部痛の原因にC2根症があるが、C1-2神経孔特有の解剖により病態は不明確である。
【症例】96歳女性、既往:環軸関節亜脱臼、頚髄症。以前より四肢痺れがあるも高齢のため保存加療となっていた。今回突然の右後頭部痛が出現、右回旋などで疼痛誘発された。動態Xpでは明らかな不安定性は認めなかった。MRIでC1高位重度狭窄、外側環軸関節骨棘に伴う右C1-2神経孔狭窄を認めた。この時点でC1後弓骨折を見逃していたが術後に確認すると骨折を認めた。疼痛は重度で根ブロックなど行うもすぐに症状は再燃した。よって高齢だが後弓切除とC1-2椎間孔拡大術(MCF)を施行した。術中に後弓右外側部分に骨折を認め、小骨片が右C2根を圧迫していたため、C2根の除圧を行った。術後、後頭部痛は速やかに消失した。
【考察】C2根症は脊椎症や血管・線維化による圧迫などが原因報告されているが本症例は後弓骨折からC2根症を発症した一例だった。一般的に固定術が推奨されるが、術後可動域制限等あり高齢者では侵襲度の高さが問題となる。よって今回C1-2MCFを行い他の合併症なく治療できた。
*24.椎体後面に脱出した巨大ヘルニアに対し頚椎人工椎間板を用いて治療を行った1例
 
医療法人社団曙会シムラ病院
 
古賀 大智(こが だいち)、藤林 俊介、池尻 好聰、村田 英明
 
【症例】後頚部と右肩から上肢の痛みが主訴の50歳男性、1ヶ月前に症状出現し、次第に増悪、深部腱反射亢進、痙性歩行を呈していた。C4/5およびC5/6椎間板ヘルニアにより脊髄は著しく圧排され扁平化しており、ヘルニア塊はC5椎体背側に脱出していた。
【治療】年齢等を考慮し、2椎間の人工椎間板置換術(CDA)を行う方針とした。C5椎体頭尾側終板の正中背側を掘削し、C5椎体背側に脱出したヘルニア塊を頭尾側から摘出し、人工椎間板を設置した。術後速やかに症状改善し経過良好である。
【考察】頚椎椎間板ヘルニアに対する手術治療は様々な術式があるが、CDAは頸椎可動性を維持することができる一つの選択肢である。Leeらはトランペット状に骨棘切除を行えば椎体高の25%程度の切除は可能であり、椎体亜全摘は不要であると報告している。我々はLeeらの方法に準じ、安定した人工椎間板設置母床を確保すると同時にC5椎体背側のヘルニア塊を摘出することができた。
25.我々の頸椎人工椎間板の使用経験
 
香川県立中央病院 整形外科
  
生熊 久(ひさ)敬(いくま ひさのり、廣瀬 友彦
 
【はじめに】2020年より導入した頸椎人工椎間板(TDR)の手術成績について報告する。
【対象と方法】術後、2年以上の経過観察が可能であった15例(平均観察期間27.2ヶ月)を対象として検討した。検討項目は、患者基本情報、手術時間、出血量、周術期合併症、C1/7角、局所前弯角、局所可動域(前後屈)、JOACMECとした。
【結果】平均年齢40.1歳、66%が男性。疾患の内訳は椎間板ヘルニア93%、神経根症6%。手術時間106.2分、出血量9.0ml、周術期合併症は認めず入院期間9.3日であった。C1/7角は術前後で有意差なく、局所前弯角は術後有意に改善した(p<0.05)。局所可動域は術前後で有意差は無かったが最終観察時TDR可動域が消失したものを26.7%(骨癒合あり75%、骨癒合なし25%)に認めた。骨癒合の全例でHeterotopic ossificationが術後出現していた。JOACMECに関して、頸椎機能、上肢機能、QOLが術後有意に改善(p<0.01, p<0.05, p<0.05)し、VASは首肩の痛み、胸の締め付け感、腕手の痺れ痛みが術後有意に改善していた(p<0.05, p<0.05, p<0.01)。
【結論】概ね満足のいく成績であったが、Heterotopic ossificationとTDR可動域消失の関係性を紐解いていく必要がありそうだ。
26.頚椎神経根症に対するエコーガイド下神経根ブロックの有効性の検討
 
島根大学 整形外科
 
杉原 太郎(すぎはら たろう)、真子 卓也、永野 聖、内尾 祐司
 
【対象】2022年10月〜2025年1月にエコーガイド下頚椎神経根ブロックを施行した男性14例、女性6例、計20例を対象とした。平均年齢は61.9歳、初回ブロックまでの平均罹病期間は17.1か月であった。診断は頚椎症性神経根症14例、椎間板ヘルニア6例。同一患者に多神経根病変を認め、計27神経根(C5:5例、C6:16例、C7:5例、C8:1例)に対して延べ53回施行した。効果を疾患別・高位別・罹病期間別に検討し、さらに手術の要否を評価した。
【結果】椎間板ヘルニアは頚椎症性神経根症に比べブロック効果が高かった。罹患神経根別では有意差を認めなかった。罹病期間も効果に影響しなかった。手術施行例は2例であった。
【考察】従来、罹病期間が短い方がブロック効果は高いとされていたが、本研究では罹病期間にかかわらず一定の効果が得られた。発症時期を問わず難治性疼痛に対する保存的治療として有用である可能性が示唆された。エコーガイド下ブロックには、放射線被曝がなく診察室で処置が可能であるという医療者側の利点に加え、放散痛を生じにくいという患者側への利点もある。本手技を活用することで、診断精度が向上し、的確な治療選択に結びつくと考えられる。
PAGE TOP