| 1.椎体骨折後の骨粗鬆症薬処方の現状と課題:佐賀県におけるリアルワールドデータから 佐賀大学医学部 整形外科1) 佐賀大学医学部附属病院 肝疾患センター2) 佐賀大学医学部 肝臓・糖尿病・内分泌内科3) 産業医科大学 産業保健データサイエンスセンター4) 平田 寛人(ひらた ひろひと)1)、高橋 宏和2)3)、戸田 雄1)、吉原 智仁1)、塚本 正紹1)、藤本 賢治4)、森本 忠嗣1) 【はじめに】椎体骨折は骨粗鬆症の代表的な脆弱性骨折であり、再骨折予防の観点から薬物治療導入が推奨されるが、実臨床での導入率に関する大規模データは少ない。 【目的】骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)後の薬物導入率の現状を明らかにすること。 【対象・方法】佐賀県の国民健康保険および後期高齢者医療保険レセプトデータを⽤い、2014年~2022年3月に椎体骨折を受傷した60歳以上の患者22,805例を対象に、骨粗鬆症治療薬の導入率を年代・性別別に集計した。さらに椎体骨折に対する脊椎手術導入率を集計した。 【結果】骨粗鬆症治療導入率は男性・女性で60代 43%・83%、70代 51%・87%、80代 58%・85%、90代 50%・85%であった。脊椎固定術の施⾏率は60代、70代、80代、90代で 3.4%、2.7%、1.6%、1.1%であった。経皮的椎体形成術は全年代を通じて1~2%であった。 【考察・結論】OVF後の骨粗鬆症治療導入率は女性で高水準を呈した。一方で高齢男性の治療導入率は低く、その背景にはDEXAによる骨密度評価における変性の影響によるBMDの過大評価が関与している可能性がある。今後、性別・年代別の課題に応じた啓発と対策が必要である。 |
| 2.骨粗鬆症性椎体骨折に対する椎体形成術術後成績に腎機能低下は関与するか 高知大学医学部 整形外科1) あき総合病院 整形外科2) 喜安 克仁(きやす かつひと)1)、戸田 愛巳2)、溝渕 周平1)、田所 伸朗1)、池内 昌彦1) 【目的】高齢者の骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)に対して椎体形成術を施⾏するとき、術前に腎機能が低下している症例を散見する。術後成績に腎機能低下が影響するかを検討した。 【方法】当院でOVF後骨癒合遅延症例に対して椎体形成術単独を⾏い、術後6か月以上経過観察できた54例を対象とした。正常例(CKD Grade1・2)36例と腎機能低下例(Grade3a-5)18例とに分け、術後成績(骨癒合、術後合併症)を比較した。 【結果】画像評価では術前骨折椎体楔状角の不安定性に有意差は認めないものの、術後3,6か月でともに腎機能低下群で骨癒合遅延例が有意に多く(6か月正常群2.8%、腎機能低下群22.2%)、透析例のうち2/3例では骨癒合が得られなかった。術後合併症では有意差を認めなった。 【考察】腎機能低下症例、特に透析患者に対するOVFの治療として椎体形成術のみでは限界があると考えられ、後側方固定の併⽤などが必要と思われた。腎機能低下症例では骨粗鬆症治療が十分⾏われていないことが多く、術前から骨の評価と骨粗鬆症薬の選択が重要と考えられた。 |
| 3.骨粗鬆性椎体骨折に対する前後方固定術を施⾏時に棘突起プレートを併⽤した治療経験 徳島県鳴門病院 中島 大生(なかじま だいき)、千川 隆志、福田 雄介、武市 憲英、岩目 敏之、日比野 直仁、邉見 達彦 【はじめに】骨粗鬆性椎体骨折(OVF)の治療法は状態に応じて椎体形成から椎体置換術や椎体短縮術まで様々な方法が選択される。Denisのthree column theoryに基づき、前柱・中柱の固定を⾏い、後柱を強固に固定する棘突起プレートを併⽤し、Three column全てを固定した症例を経験したので報告する。 【対象】2024年以降で不安定性を有するOVFに前方再建とCement augmented pedicle screw(CAPS)を⽤いた後方固定術をする際に、棘突起プレート(SPlate)を併⽤した5例(男性3例、女性2例)、年齢は72~83歳(平均75.4 歳)を対象。 【方法】検討項目は手術方法、術後3カ月時点での立位局所後弯角の矯正損失、周術期合併症。 【結果】手術方法は椎体置換+CAPSが4例、椎体形成+椎体間固定+CAPSが1例。平均矯正損失は3.8°であった。Cageの沈下が1例、Screw looseningは認めなかった。創部表層感染を2例に認めたが早期洗浄縫合で治癒した。 【考察】棘突起プレートの手技は簡便で、比較的短時間に固定できる。脆弱な椎体骨折に対し後方⽀持組織である棘突起を固定し前柱や中柱の動きが減少することでX-coreの沈下やscrew looseningの減少に寄与し、後方固定術の補強材料として有⽤と考える。 |
| 4.神経症状を伴う下位腰椎椎体骨折に対するBKP JCHO 玉造病院 脊椎外科センター 神庭 悠介(かんば ゆうすけ)、馬場 雅人、渡邊 睦、和田山 文一郎 【目的】神経症状を伴う下位腰椎骨粗鬆性椎体骨折(OVF)に対するBKPの適応について検討した。 【方法】神経症状を伴う下位腰椎OVFに対してBKP単独で治療した23例を対象とした。神経症状が骨折椎体の上位椎間で生じた群(S群)11例と下位椎間で生じた群(I群)12例を比較検討した。S群とI群の性別・年齢に有意差はなく、罹患椎体はL3.L4.L5それぞれ2例.7例.2例と1例.9例.1例で大半がL4であった。 【結果】S群の神経症状は頭側椎間の脊柱管狭窄による神経根症が7例、馬尾症状が4例。I群は全12例が尾側椎間孔狭窄による神経根症を呈した。術前後の腰痛、殿下肢痛、しびれのNRSは(S群5.5→3.5、6.7→2.7、3.2→1.8、I群 3.8→1.2、8.1→0.8、2.2→1.4)両群全項目で改善し、S群よりもI群は有意に殿下肢痛が改善した。 【考察】椎弓根を経由し椎体中央に設置されたバルーンは、椎体上方よりも椎体下方の方が比較的整復しやすい。そのため頭側椎間よりも尾側椎間の神経症状に対して、BKPが有効であったと考えられた。 【結論】神経症状を伴う下位腰椎OVFに対するBKPは、尾側椎間の神経症状に対して特に有効である。 |
| 5.腰部脊柱管狭窄症に対する棘突起環納式椎弓形成術の術後腰痛に対する効果 JA 徳島厚生連吉野川医療センター 整形外科1) 徳島大学 整形外科2) 井形 直紀(いがた なおき)1)、宮武 克年1)、高砂 智哉1)、後藤 仁1)、百田 佳織1)、阿部 勇人1)、酒井 紀典2)、長町 顕弘1) 【目的】棘突起間の滑液包炎による腰痛は、高齢者でしばしば観察される。 一方、高齢者腰椎では隣接する棘突起の接触が後方荷重⽀持要素として機能している可能性がある。我々は腰部脊柱管狭窄症に対する後方除圧術として棘突起末梢半部の切除を伴う部分椎弓切除術(LRSP)と棘上靭帯と棘突起末梢半部を温存する棘突起環納式椎弓形成術(LPSP)を⾏ってきた。棘突起末梢半部切除は棘突起間接触を回避できるが、後方⽀持要素を失う可能性がある。本研究の目的は、LPSPが術後腰痛軽減に有⽤であるかどうかを明らかにすることである。 【対象および方法】対象はLRSPを受けた18名とLPSPを受けた37名である。術前と術後3、6、12ヶ月目にJOABPEQ と腰痛VASを⽤いて評価した。 【結果】手術後12ヶ月のVASスコアでは、LPSPの方がLRSPよりも有意に低かった。JOABPEQについては、観察期間中、両群間で有意差は認められなかった。 【結論】棘突起の下側半分を温存することは、術後腰痛を軽減する可能性がある。 |
| *6.腰椎椎間板変性症に対する TLIF 後に下垂足を来した症例 JA 山口厚生連周東総合病院 整形外科 茶川 一樹(ちゃがわ かずき) 症例:48歳男性 病歴:職業は介護職、3年前よりギックリ腰を繰り返していた。 2年前1月仕事中に強い腰痛があり、以後頻回に再燃し、多数の医療機関を受診していた。1年前2月他院にてL4/5ヘルニコア歴あり、同年9月近医より某大学病院へ紹介、L4/5腰椎椎間板変性症(Modic 終板炎)と診断され、椎間板ブロックにて一過性に著効した。 本年2月に全内視鏡下に椎間板摘出術+椎間板内洗浄術(Lt TF approach)が⾏われ、VAS 術前5→術後2に改善も、術後3か月の時点で症状残存、固定術を勧められ、5月ご家族の希望あり当院を紹介受診となった。 10月X日TLIF(左 L4/5)を⾏った。しかし、術後術前になかった左下肢痛と左下垂足が出現、CTにてケージの設置不良に伴う椎体辺縁の骨折と椎間孔の骨性狭窄を認めた。自然改善傾向なかったため、術後14日目に再手術:L4/5脊柱管と左 L4/5椎間孔の顕微鏡下除圧とケージの入れ替えを⾏った。術後左下肢痛は軽快したが、左下垂足と感覚障害は残存した。 現在術後6か月で腰痛は自制内も短下肢装具を使⽤、近医でのリハビリ加療を継続している。 |
| 7.腰椎変性すべり症のCARDS分類Type Cにおける除圧術の治療成績に影響する因子の検討 九州大学病院 整形外科1) 九州大学病院 リハビリテーション科2) 樽角 清志(たるかど きよし)1)、河野 敦1)、横田 和也1)、小早川 和1)、川口 謙一1)2)、中島 康晴1) 【目的】腰椎変性すべり症CARDS分類Type Cに対する除圧術の治療成績と、予後に影響する因子を明らかにすることを目的とした。 【対象と方法】2018年4月~2022年3月にL4変性すべり症と診断され除圧術を受け、1年以上の経過観察が可能であったCARDS分類Type Cの34例を対象とした。術前X線にてL4すべり距離、L4/5椎間可動角、全脊椎アライメントを測定し、術後1年までの腰痛VAS、下肢痛VAS、ODI、JOABPEQとの関連を解析した。 【結果】全体として症状は有意に改善したが、術前のすべり距離の変化量(不安定性)やPelvic Tilt(PT)が大きい症例では、JOABPEQの歩⾏機能改善が不十分であった。 【結語】CARDS分類Type Cに対する除圧術は有効であるが、術前の不安定性やPTを考慮することで、より良い治療成績が期待される。 |
| 8.腰椎椎間板ヘルニアのMRI経過 ― 複回撮影症例の検討 ― JA 山口厚生連小郡第一総合病院 整形外科 米村 浩(よねむら ひろし) 【目的】腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドラインには自然退縮する特徴はヘルニアサイズの大きいもの、遊離脱出したもの、リング状に造影されるものが挙げられ、2~3ヶ月で退縮するものも少なくないと記載されている。当院で複数回MRI撮影を⾏った腰椎椎間板ヘルニア症例の経過について検討した。 【対象・方法】腰椎椎間板ヘルニアと診断され2回以上のMRI撮影が可能であった143例(男性98例、女性45例)を対象とし、縮小群と不変群で比較検討した。 【結果】縮小を認めた症例は104例(72.7%)、縮小するまでの期間は発症から平均9.9ヶ月(2~137)で、発症から3~5ヶ月以内で縮小する症例が多く認められた。ヘルニアの前後径で比較すると4mm を超えれば75%以上の確率で縮小、上下椎体後縁への浸潤の有無で比較すると有の場合80%以上で縮小した。 【考察】ヘルニコアの出現によりヘルニア治療法の選択が大きく広がったが、migrationを伴うヘルニアの治療について保存治療か手術かの選択に今後も検討が必要と考える。 |
| 9.中上位腰椎椎間板の頭側脱出ヘルニアに対する内視鏡視下ヘルニア摘出術の経験 シムラ病院 整形外科 村田 英明(むらた ひであき)、池尻 好聰、澤 幹也、吉岡 徹、副島 竜平、斎藤 文寿、古賀 大智、藤林 俊介 腰椎椎間板の解剖学的特徴として、L3/4より中枢の上位椎間板においては、椎間板レベルは椎弓間より頭側に位置している。したがって中上位椎間板に発生した腰椎椎間板ヘルニアのうち、頭側に脱出したヘルニア塊は、椎弓間よりはるかに頭側に位置していることになる。腰椎椎間板外側ヘルニアの摘出においては、治療方法や手術手技はほぼ確立されている。しかし椎間板レベルが椎弓間より頭側に位置する中上位腰椎椎間板の、頭側脱出ヘルニアにおいては、決定的な低侵襲治療はまだない。本発表では椎弓間から摘出(Inter Laminar Approach;IL法)する方法、椎弓に骨孔をあけ、経椎弓的にヘルニアを摘出する経椎弓進入法(Trans Laminar Approach;TL法)および外側ヘルニアに対するアプローチを応⽤した上位椎弓外側縁から進入するFar Lateral Approach(FL法)の3術式を、ヘルニア塊の位置によって使い分けた。その術式の詳細と治療成績について報告する。 |
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