| 32.腰椎カーブに対するOMC装具とシェノー装具の初期矯正と柔軟性の比較 宮崎大学 整形外科 永井 琢哉(ながい たくや)、黒木 修司、比嘉 聖、天野 翔太、高橋 巧、松本 尊行、亀井 直輔 OMC装具(O群)とシェノー装具(C群)の効果を比較した報告はなく、本研究では主たる側弯カーブが腰椎にある症例において、装具装着時(O群:10例、C群:8例)の初期矯正効果と柔軟性との関連を検討した。柔軟性は立位時と側屈時のCobb角、初期矯正率は立位時と装具装着時のCobb角から算出した。初期矯正率はO群42.1%、C群59.5%であり、C群が有意に高値を示した(p=0.011)。柔軟性と装具効果の相関はO群でr=0.36、C群でr=−0.31であり、シェノー装具は柔軟性に依存せず安定した矯正効果を示す可能性が示唆された。 |
| *33.脊椎後方固定術術後に上腸間膜動脈症候群を発症した思春期特発性側弯症の一例 岡山大学 整形外科 篠原 健介(しのはら けんすけ)、小田 孔明、魚谷 弘二、尾﨑 敏文 重度なCobb角の思春期特発性側弯症に対する外科的治療の有効性は広く認識されている。その術後合併症としては術後感染、神経損傷、instrumentation関連が多いが、消化器症状を呈し治療に難渋することもある。今回、脊椎後方固定術術後に上腸間膜動脈症候群(SMA)と診断され治療した一例を経験したので報告する。 症例は11歳女児、Lenke type3の診断にて脊椎後方固定術(T3-L4:手術時間340分、出血量2190ml)が施行された。術後の離床リハビリは順調に経過していたが、術後9日目に嘔気・嘔吐、腹部鈍痛が出現した。腹部エコー、CT、消化管造影検査を行い、SMAと診断された。すぐさま胃管が挿入され絶食・補液での加療が開始された。その後、食事療法へと移行し保存加療で症状改善し自宅退院可能となった。本症例では幸いなことにSMAに対する外科的加療は行わずに軽快したが体重減少、入院期間の延長といった術後QOLの大幅な悪化を招いた。側弯症術後には消化器症状の観察も必須である。 |
| 34.Intrathecal baclofen therapy (ITB)療法導入後に脊椎矯正固定術をおこなった症候性側弯症の6例 琉球大学 整形外科 宮平 誉丸(みやひら よしまろ)、島袋 孝尚、金城 英雄、親富祖 徹、中島 慶太、西田 康太郎 【はじめに】ITB療法は用量調節可能な体内植え込み型ポンプから、髄腔内に挿入されたチューブを介してバクロフェンを持続的に投与することで痙縮治療を目的とする。今回、ITB療法導入後の症候性側弯症6例を経験したので報告する。 【対象と方法】対象は2024年12月までに手術が行われた6例(男性3例、女性3例)で、手術時年齢は平均16.0歳、観察期間は平均5.8ヵ月であった。ITBポンプとチューブに対する処置として、ポンプは全例保存し、術中のチューブの入れ替えは4例で行い、2例はチューブを温存した。患者特性、術前後単純X-p、手術項目、合併症を検討した。 【結果】基礎疾患は全例脳性麻痺。術前X-pではCobb角110°、PO 41°であった。手術時間583分、出血878ml、脊椎固定は14.3椎間、術後Cobb角66°と矯正された(矯正率33%)。術後はICUで平均3.0日間管理し、入院期間は18.5日であった。合併症は2例で肺炎、1例で尿路感染症を認めた。創部感染・髄液漏はなかった。 【結語】ITBチューブに対する手技は煩雑だが、感染や髄液漏など局所合併症はなかった。 |
| 35.ゴアテックス®シートで硬膜形成を行った脊椎脊髄手術 琉球大学 整形外科 金城 英雄(きんじょう ひでお)、島袋 孝尚、宮平 誉丸、親富祖 徹、中島 慶太、西田 康太郎 【はじめに】脊椎脊髄手術の際にゴアテックス®シートで硬膜形成をおこなった症例を検討した。 【対象と方法】対象は2011~2024年に手術を施行した15例(男性4例、女性11例)、平均年齢52.8歳、経過観察期間52.9ヵ月。シートは欠損硬膜よりも大きく形成、硬膜内に滑り込ませるように内側へ設置し縫合固定した。疾患、高位、手術(局所部位など)、術後MRI、合併症を検討した。 【結果】疾患は、髄膜腫7例、神経鞘腫(すべてダンベル型)5例、脊髄係留症候群3例であった。高位は頚椎6例、胸椎6例、腰椎2例、仙椎1例。使用部位は脊髄の前側方9例、後方6例であった。術後MRI(平均1.9ヵ月)では、14/15例(93.3%)で硬膜外に髄液漏を認めた。合併症として感染や髄液皮膚漏は認めなかったが、低髄圧に随伴すると考えられた頭蓋内硬膜下出血2例と硬膜下水腫1例を認めた。 【結語】ゴアテックス®シートは生体親和性や親水性はなく、また柔軟性もないため硬膜との間隙から髄液が漏れることが多く、他の素材で硬膜形成を行う方が良いのではないかと考えられた。 |
| 36.転移性脊椎腫瘍に対するリエゾン治療の有用性(10年のデータを元に) 川崎医科大学 整形外科 渡辺 聖也(わたなべ せいや)、中西 一夫 【目的】本研究では、転移性脊椎腫瘍患者における早期発見と適切な治療介入を目的として実践されている当院のリエゾン治療の有効性を検証する。 【対象】2013年12月から2023年12月までの10年間で1378例の転移性脊椎腫瘍患者を対象とした。SREが発生する前に治療介入した群をリエゾン群(L群)、SREが発生してから治療開始となった群をS群とした。 【結果】L群は1306例、S群は72例であった。L群はSINS:5.4±2.8点、PS:1.5±1.4、麻痺を認めたのは4.2%であった。一方、S群はSINS:9.7±2.5点、PS:3.4±0.9、麻痺を認めたのは62.5%であった。治療内容は、L群:放射線療法27%、骨修飾剤49.3%、手術3.9%、SRE群では放射線療法64.9%、骨修飾剤62.5%、手術38.9%であった。生存期間の中央値はL群:16.0か月、S群は4.0か月で有意差を認めた。 【考察】リエゾン治療は、転移性脊椎腫瘍において脊椎外科医を中心とした多職種連携モデルである。SREを未然に防ぎ、患者の健康寿命を延ばすことが可能となる。一方、SRE発生後に他院から紹介される患者に対しては、治療成績が十分に改善しない課題が残る。 |
| 37.神経根奇形を合併しやすいXpの画像的特徴 鹿児島大学 整形外科1) 霧島整形外科2) 俵積田 裕紀(たわらつみだ ひろき)1)、冨永 博之1)、堂込 雅貴2)、井㞍 幸成2)、上園 忍1)、小倉 拓馬1)、河村 一郎1)、谷口 昇1) 【目的】腰仙椎神経根奇形は術中医原性神経損傷の可能性がある。本研究は、腰仙椎奇形を伴う症例における神経根奇形の合併頻度と関連性を調査し、術前X線画像での予測可能性を評価することを目的とした。 【方法】対象は腰臀部、下肢症状を伴い当科関連病院を受診した2213例。X線画像では腰仙椎奇形をCastellvi分類で評価し、MRIでは神経根奇形をNeidre分類で評価した。 【結果】腰仙椎奇形は943例(43.4%)、神経根奇形は60例(2.8%)に認めた。特にCastellvi type 2以上の腰仙椎奇形では神経根奇形の合併率が8.8%と、奇形なし群(1.9%)に比べ有意に高かった(p<0.0001)。 【考察】Castellvi type 2以上の腰仙椎奇形を有する場合、神経根の走行異常による術中損傷リスクを考慮し、慎重な術前評価が必要である。 |
| 38.記述疫学解析による課題抽出と多部門連携による脊椎領域手術部位感染対策の有用性に関する検討 鹿児島大学 整形外科教室1) 鹿児島大学病院 感染制御部2) 上園 忍(うえだ しのぶ)1)、冨永 博之1)、川村 英樹2)、河村 一郎1)、俵積田 裕紀1)、小倉 拓馬1)、谷口 昇1) 【目的】脊椎外科領域における手術部位感染(SSI: Surgical Site Infection)対策は、術前・術中・術後と複数の部門が関与するため、対策強化が難しい。本研究の目的は、多部門で課題を抽出し、それに基づく対策強化がSSIの減少に有効かを検討することである。 【方法】2018年のSSI症例を対象に記述疫学解析を行い、感染発生状況と関連因子を特定した。具体的な対策は、整形外科、麻酔科、手術部、病棟、感染制御部が連携して立案し、SSIのリスク因子に基づく対応を実施した。 【結果】対策として術中保温の強化、周術期血糖管理、ポビドンヨードによる術野洗浄、病棟での手指衛生強化を行った結果、2020~2021年のSSI発生率は有意に減少した(0.6% vs. 5.4%, P=0.0001)。特にリスクインデックス1・2の症例で有意な減少がみられた(0.8% vs. 6.6%, P=0.0005)。 【考察】記述疫学解析によって特定された低体温や高血糖といったリスク因子に対する対策強化が、脊椎手術におけるSSIの減少に寄与したことが示された。 【結論】記述疫学解析に基づく課題抽出と多部門の連携による対策強化は、SSI対策として有用である。 |
| 39.脊椎手術の周術期における栄養補充:必須アミノ酸と亜鉛の同時摂取の有用性 済生会福岡総合病院 整形外科 春田 陽平(はるた ようへい)、水内 秀城、屋良 卓郎、石橋 正二郎、泊 健太、鶴 翔平、宮房 玲奈、兼田 慎太郎 【背景】脊椎手術周術期のタンパク質異化亢進による栄養状態の悪化は、術後合併症と関連するため適切な栄養補充を要する。タンパク質合成には体内で合成できない必須アミノ酸の他、微量元素である亜鉛の摂取が勧められるが、周術期において必須アミノ酸と亜鉛の同時摂取(EAA+Zn)の有用性は報告されていない。本研究の目的は、脊椎周術期の栄養補充におけるEAA+Znの有用性を評価することである。 【方法】当科で脊椎手術を行った40歳以上の患者をEAA+Znの有無で無作為に群分けした(各群13例)。非摂取群:院内食のみ、摂取群:院内食+EAA+Zn(VCRESC Cp10®)を1回/日で経口摂取。術翌日・術後1週のPrognostic Nutritional Index(PNI)を比較した。 【結果】術翌日:両群共に6例(46%)がPNI 35未満:危機的栄養状態。術後1週:非摂取群;5例がPNI 35未満、摂取群;全例PNI 35以上。 【結論】脊椎周術期の栄養補充における必須アミノ酸と亜鉛の同時摂取の有用性が示された。 |
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