第101回西日本脊椎研究会  抄録 一般演題Ⅲ(外傷)


16.頚椎領域における最小侵襲脊椎固定術(MIST)の最近の応用
 
岡山旭東病院 整形外科
 
時岡 孝光(ときおか たかみつ)、土井 英之
 
頚椎外傷に対する最新のMIST手術を紹介する。経皮固定:症例1. 陳旧性外傷性頚椎椎間関節脱臼:70歳代男性、5ヶ月前にトラックの荷台から転落して受傷し、右上肢痛が続いた。右片側C5/6椎間関節脱臼があり、後外側アプローチで整復し、C5-C6経皮的椎弓根スクリュー固定と、前方にケージ挿入して固定した。症例2. 転位した歯突起骨折:80歳代男性:転落外傷のAnderson II型の歯突起骨折で中枢骨片は背側へ転位して整復不能。後外側アプローチで経皮的に環軸関節をスクリュー固定した。6ヶ月後転位したまま骨癒合した。症例3. 転位した軸椎ハングマン骨折:50歳代男性自転車レースで転倒し、転位したLevineⅡ型のハングマン骨折とC1後弓骨折。痛みで全く起き上がれない。後外側アプローチでC2/3transdiscal screwでC2C3間を固定し、C1外側塊スクリューと連結固定した。その他仰臥位手術など。<考察>これまで行ってきた低侵襲な頚椎固定術を提言し、さらに改良させて発展を期待する。
*17.第5腰椎前方脱臼骨折の1例
 
県立広島病院 救急科1)
県立広島病院 整形外科2)
 
佐伯 辰彦(さいき たつひこ)1)、西田 幸司2)
 
 腰仙部は関節面の構造と周囲の靭帯により安定した構造であり、第5腰椎脱臼骨折は比較的稀である。症例は、特に既往のない20歳代の男性。ブロックの解体中に、崩れたブロックに挟まれ前医に救急搬送され当院に転院となった。
 当院転院時、腰部に強い疼痛を認め、神経学的所見に異常はなかった。当院のCT検査で、L5前方脱臼を認め、他臓器に合併損傷はなかった。
 受傷6日目にL5/S1腰椎後方椎体間固定術(PLIF)の方針とし後方アプローチで手術を開始した。L5棘突起は前方に転位していた。仙椎の上関節突起を切除したが整復位とならず、椎間板を展開すると前方への滑りを約8mm程度認、椎間板を切除、骨移植、Cageを挿入した。L5,S1に経皮的椎弓スクリューを挿入しS1にロッドを固定しL5スクリューを引き寄せ整復した。術後は軟性装具を装着し、術後14日目に独歩退院し、現在復職している。第5腰椎前方脱臼骨折には、PLIFが有用な可能性がある。
18.頚椎脱臼骨折に対する牽引整復困難因子の検討
 
宮崎大学 整形外科
 
比嘉(ひが) 聖(ひが きよし)、黒木 修司、永井 琢哉、高橋 巧、松本 尊行、天野 翔太、亀井 直輔
 
【目的】頚椎脱臼骨折に対する牽引整復の成否に関与する因子を明らかにすること
【方法】2012年3月から2025年2月までに当院へ搬送された頚椎脱臼骨折患者37例を対象とした。整復可能群(n=28)と整復困難群(n=9)に分け、年齢、損傷椎間レベル、脱臼の側性、脱臼形態、ケタミン使用、椎間関節骨折の有無、BMI、牽引重量との関連を後方視的に検討した。
【結果】損傷椎間レベルではC5/6で整復成功率が高かったのに対し、C4/5では整復困難例が多く、有意差を認めた。完全脱臼では整復困難例が多く、lockingの方が成功しやすい傾向があった。ケタミン使用や椎間関節骨折の有無は整復成否に有意な影響を与えなかった。40歳以下の若年群では整復困難例が有意に多かった。脱臼の側性においては、両側脱臼群で整復困難の傾向がみられた。
【結論】損傷レベル、脱臼形態、年齢は牽引整復の成否に関与する可能性があり、脱臼の側性も考慮すべき要因の一つと考えられる。牽引整復が困難と予測される症例では、早期に観血的整復への移行を検討することが望ましい。
19.当院での頚髄損傷に対する急性期治療
 
総合せき損センター 整形外科
 
(はた) 和宏(はた かずひろ)、中尾 允哉、陣林 秀紀、室谷 和弘、黒石 聖、萩原 秀祐、小野 玄太郎、入江 桃、甲斐 一広、久保田 健介、益田 宗彰、坂井 宏旭、河野 修、前田 健
 
頚髄損傷の急性期治療において、重要なことは肺合併症や褥瘡などの予防のための全身管理と早期リハビリテーションである。その目的を達成するために骨傷のある頚髄損傷に対しては即日に固定手術行っている。一方、非骨傷性頚髄損傷は支持性が保たれているため、カラー装着により頻回の体位交換や早期リハビリテーション開始は可能である。そのため現在当院での治療方針は脊柱管狭窄のない症例は保存加療、既存の脊柱管狭窄のある症例は全身状態に大きな問題のない場合は可及的早期に除圧術を行い、糖尿病など内科合併症がある症例や抗凝固など内服調整が必要な症例は安全に手術を行うことを最優先として待機的に除圧術を考慮している。当院でのここ5年間の非骨傷性頚髄損傷患者を手術なし群、あり群でAISの変化を比較すると、両群ともAISが1段階以上改善した症例の割合は変わらず、AIS Bの症例も両群とも全例改善を認めている。現状この方針は緊急度と安全性の面で理にかなった治療方針ではないかと思われる。
20.当院におけるびまん性特発性骨増殖症を伴う胸腰椎破裂骨折の治療成績
 
県立広島病院 整形外科
 
安岐 智史(あき さとし)、西田 幸司
 
【目的】びまん性特発性骨増殖症(以下、DISH)は高齢、男性に多いとされ、超高齢社会である日本では増加している。今回、特徴を調査するため当院におけるDISHを伴う胸腰椎破裂骨折に対するin situ後方固定術施行した症例を調査した。
【方法】当院においてDISHを伴う椎体骨折に対して手術加療した22例を対象とした。調査項目は年齢、性別、受傷機転、骨折高位、固定範囲とした。
【結果】年齢は平均79歳(58歳~95歳)、男性16例、女性6例で、高エネルギー外傷が13例、 低エネルギー外傷が9例であった。骨折高位はT10 6例、T11 9例、T12 2例で胸腰椎移行部に多く存在した。固定範囲は1above1below 3例、2above1below 1例、2above3below 1例、2above2below 11例、3above3below  5例であったが、再手術を要した症例は認めなかった。
【考察】DISHによる椎体骨折は3above3below固定が基本とされていたが、不安定性の強くない症例では固定範囲を小さくすることが可能であった。
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