| *20.仙骨骨折(H-shaped fracture)に対してSpino-pelvic fixationを行った1例 中部徳洲会病院 整形外科 山川 慶(やまかわ ちかし)、親富祖 徹、西田 康太郎 仙骨骨折(H-shaped fracture)に対してSpino-pelvic fixationを行った1例を経験したので報告する。 【症例】38歳、女性。夜間、路上で倒れているのを通行人が発見し救急車を要請。近医の救急外来へ搬送。骨盤骨折、胸椎、腰椎椎体骨折と診断され、骨盤骨折に対し同日創外固定術を施行。受傷5 日目に誤嚥性肺炎を発症。受傷3週目に手術目的に当院へ搬送となった。 【身体所見】肩甲骨高位から臀部までの疼痛あり。両側臀部から下腿後面にかけてのしびれあり。下肢の明らかな筋力低下および膀胱直腸障害はなかった。 【画像所見】CT像でT9、T11椎体骨折、L1、L4椎体骨折、仙骨骨折(H-shaped fracture )を認めた。 【手術】脊椎骨盤後方矯正固定術(Spino-pelvicfi xation)を施行した。 ①T9からL3まで正中に皮切を加え経筋膜的にpedicle screwを挿入した。 ②L3からS2まで展開し、CTナビゲーション下にL3からL5にpedicle screw、両側腸骨にSAI screwを挿入した。③左右rodを設置後、2本のrod間(L4からS1高位)に補強目的 で3本目のrod を設置した。 術後3日目から離床訓練開始。8週目には階段昇降訓練レベルまで改善し回復期病院へ転院となった。 |
| 21.H型仙椎骨折を認める骨脆弱性骨盤骨折に対する経皮的腸骨仙骨スクリュー固定の治療経験 兵庫医科大学救命救急センター 兵庫医科大学整形外科 嶺尾 勇和(みねお ゆうわ)、山浦 鉄人、圓尾 圭史、有住 文博、木島 和也、波多野 克、橘 俊哉 【目的】H型仙椎骨折を認めるFFPに対して経皮的腸骨仙骨スクリュー固定(ISS)を使用した症例の治療経験を報告する。 【方法】2023年6月から2024年6月までで当院で仙骨骨折を伴うFFPに対して経皮的ISSを施行した7例を対象とした。 【結果】平均年齢は77歳、男性2例、女性5例で全例Rommens Type 4bであった。発症から診断までの期間は平均17日あった。受診方法は2例のみ救急搬送であった。手術は全例術前CTでプランニングを行い、4例は術中CTでスクリュー軌道を確認した. 受診時ADLは4例がベッド上、3例が車椅子であったが脳性麻痺の1例を除いて全例歩行可能となった。神経合併症やスクリューの逸脱症例は0例で2例にスクリューバックアウトを認めた。 【結語】H型仙椎骨折を認めるFFPは高齢者に多く、疼痛のためADL障害の原因となりうる、保存加療抵抗性のあるFFP Tyep4bに対してISS固定は有効な治療選択であると考える。 |
| *22.びまん性特発性骨増殖症に伴う腰椎椎体骨折に対する治療に難渋した1例 小波瀬病院 山根 宏敏(やまね ひろとし)、福原 志東、有田 忍、赤星 正二郎、石倉 遼、近藤 秀臣、弓指 恵一、三輪谷 幸太、馬塲 賢治 症例は、78歳女性自宅で転倒し受傷。体動困難となり、同日当院救急外来受診。CT にてDISHを伴うチャンス型のL1椎体骨折認めた。 受傷後6日目にPPSを用いた後方固定術(Th10-L5)施行したが、腹臥位での整復が困難で転位したままでロッド固定をした。腰痛は改善していたが、術後CTにて転位した骨片が腹部大動脈を圧迫していたため、側臥位にてロッドを1回はずし、徒手的にMEPを確認しながら整復した後、再度ロッド固定。術前より整復不十分であったが、改善はされており、リハビリとPTH製剤開始した。 術後2ヶ月経過してもスクリューの緩みはないが、骨折部の不安定性残存し、体動時の腰痛が残存していたため、棘突起プレート固定と棘突起間に自家骨移植を行った。 その後腰痛なくリハビリが行えるようになり、歩行器歩行にて、自宅退院となった。 【考察】DISH を伴う椎体骨折の中には腹臥位では整復できない場合ある。整復できない場合は、側臥位にて整復してからロッドを固定した方が良いと考えられた。 |
| 23.高度に圧壊した骨粗鬆性椎体骨折に対してSAS screwによる矯正とBKPの併用による治療方法の検討 福岡みらい病院 整形外科・脊椎脊髄病センター 柳澤 義和(やなぎさわ よしかず)、大賀 正義、寺田 和正 【はじめに】すでに圧壊した骨粗鬆性椎体骨折(OVF)の治療方法には苦慮することが多い。当科では低侵襲にSAS screwにより矯正したのち経皮的椎体形成術(BKP)を併用した方法を行なっている。本術式の是非について検討したので報告する。 【対象と方法】7例(男女比1:7、平均年齢77.4歳)を対象とした。罹患椎体はTh12:3例、L3:2例、その他であった。調査項目として椎体楔状率(前璧高/後壁高*100)、局所後弯角、疼痛VASスコア(術前を10)、陥入骨片の平均脊柱管占拠率と変化率、隣接骨折とscrewの緩み、抜釘の有無、セメントleakなどの合併症を調べた。 【結果】平均楔状率は36.4%から67.7%へ、平均局所後弯角は23.0度から15.8度へ、平均VASスコアは術前10から2へ改善し、平均脊柱管占拠率は術前38.4%から36.5%へ改善し平均変化率は5.0%であった。隣接椎体骨折を2例に、緩みを認めた2例で抜釘術を行なった。セメントのleakは1例に認めたが神経合併症は認めなかった。 【考察】アライメントや疼痛スコアは改善を認めたが比較的早期に隣接椎体骨折やscrewの緩みで抜釘が必要となる例が多かった。骨折椎体にBKP後、MAS screwを刺入することで予防できる可能性があると考えられた。 |
| 24.骨粗鬆症性椎体骨折に対するBalloon KyhoplastyとVertebral Body Stentingでのセメント椎体外漏出の比較 洛和会丸太町病院 脊椎センター 槇尾 智(まきお さとし)、原田 智久 【はじめに】Balloon Kyhoplasty(BKP)とVertebral Body Stenting(VBS)でセメント椎体外漏出を術後CT像で比較検討したので報告する。 【対象および方法】骨粗鬆症性椎体骨折に対して経皮的椎体形成術を施行し、術後CT像を撮影したBKP 50例(B群)とVBS 55例(V群)を対象とした。年齢、術後CT像での椎体外漏出、血管内漏出、脊柱管内漏出の発生率で比較検討した。 【結果】年齢はB群で81.0歳、V群81.5歳であった。椎体外漏出はB群21例(42%)、V群10例(18%)であった。血管内漏出はB群6例(12%)、V群7例(13%)であった。脊柱管漏出はB群3例(6%)、V群6例(11%)であった。 【考察】VBSは、ステント構造でdeflation effectを防ぎ、セメント充填時の椎体高の維持ができることや術後矯正角の良好な維持が報告されている。VBSはセメント椎体外漏出が少なく椎体外漏出は防げていたが、血管内漏出は同等であり血管内漏出は防げなかった。脊柱管内漏出は、VBSの方が多くステント内にセメントが充填されたのちに後方に漏 出されることが多いため、ステント内に充填されたところでセメント注入を終了すべきであると考えた。 |
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